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「体目当て」主張は「無罪の根拠にならない」と一蹴 紀州のドン・ファン元妻に詐欺で実刑

産経ニュース 2024年9月2日 12時58分

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に対する殺人罪などで起訴された元妻の須藤早貴被告(28)が、別の男性=当時(61)=から現金計約2980万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた事件で、須藤被告を懲役3年6月とした2日の和歌山地裁判決は、被告側の主張を全面的に退けた。

この日もこれまでの公判と同じく、黒いノースリーブのワンピースにマスク姿で出廷した被告。腰に届くくらいの長い髪を肩にかけながら証言台に座り、福島恵子裁判長が実刑の判決主文を読み上げると、被告は少し身じろぎして座り直し、判決理由にじっと耳を傾けた。

被告側は海外留学など噓の名目で金を受け取ったことは認めており、男性が噓を信じてだまされていたか否かが争点だった。被告は受け取った金を旅行やブランド品の購入に充てていた。

男性は証人尋問で「噓だと分かっていたら金を払わなかった」と証言。一方で弁護側は、男性は噓にだまされたのではなく、被告の体目当てで願いに応えていたと主張し、「詐欺罪は成立しない」と訴えていた。

判決理由で福島裁判長は、男性の証言は留学を応援するメールを送っていたことなど客観的な証拠と整合し、「信用できる」と指摘。「(被告に)性的な行為を要求したことはない」といった男性の法廷証言に虚偽があり、実際には性的な意図があったとしても「(被告の名目が)噓だと分かっていたことの根拠にはならない」とした。

その上で「(男性には)若い好みの女性の歓心を得たいという気持ちがあったと考えられるが、そうした感情を利用して大金をだまし取る違法性を軽く見ることはできない」と指摘。ただ量刑を決める際には、被告が当時は未成年の19歳だったことも考慮した。

公判によると、2人は、被告が美容専門学校に通いながら勤務していた札幌市内のキャバクラで知り合った。

被告は当初から男性に対して「美容師になりたい。学費のためにキャバクラで働いている。親は学費を出してくれない」と説明。これを聞いた男性は「早貴の夢を応援したい」と学費や生活費などとして金を振り込むようになった。

被告は男性の要望で店を辞め、月20万円の「お手当」や会った際の「お小遣い」ももらうように。立件された約2980万円のほかに多額の現金を受け取っていたことも、公判で明らかになった。

野崎さんに対する殺人と覚醒剤取締法違反(使用)の罪の審理は分離され、裁判員裁判の初公判は12日に開かれる予定。

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