12歳だった実の娘に性的暴行を加え、複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症させたとして、強制性交致傷罪に問われ、1審大阪地裁の裁判員裁判で求刑(懲役18年)を上回る懲役20年を言い渡された父親の男(56)の控訴審判決が24日、大阪高裁で開かれ、坪井祐子裁判長は「重過ぎて不当」として1審を破棄し、懲役15年を言い渡した。
1審は、性的虐待は娘が保育園児のころから約6年間にわたって続き、「泣いて拒否する娘に対して犯行に及び、鬼畜の所業」と指弾。娘は精神状態の悪化により中学校にも通うことができず、未来に希望を持てない状況になっているとして、「1人の人間の人生を破壊する結果をもたらした」と有期刑の上限を選択していた。
一方、2審の坪井裁判長は1審の「人生を破壊する結果」との言及について「いささか過剰な評価と言わざるを得ない」と指摘。裁判員裁判の判断は「尊重されるべき」としつつ、同種事案の量刑の上限は懲役14~15年で、懲役20年は虐待の末の傷害致死事件も上回っていることを踏まえ、「従来の量刑傾向から合理的な理由なく著しく乖離(かいり)しており、重過ぎて不当」と結論付けた。