令和5年の一般刑法犯の摘発件数が27万件余りとなり、19年ぶりに前年から増加に転じたことが20日、法務省が公表した6年版犯罪白書で明らかになった。児童虐待、サイバー犯罪、大麻取締法違反、危険運転致死傷の摘発件数が過去最多だったことも判明。同省は「犯罪情勢が新型コロナウイルス禍前の水準に迫っている」と警鐘を鳴らす。
全国の警察や海上保安庁、厚生労働省麻薬取締部などの捜査機関が5年に摘発した刑法犯は前年比1万9072件増の27万269件で、平成16年以来の前年比増となった。
犯罪類型別の摘発件数では、児童虐待防止法違反や傷害などの児童虐待事件が2385件。不正アクセス禁止法違反を中心としたサイバー犯罪は1万2479件。20代や未成年ら若者への蔓延が社会問題化している大麻取締法違反は8232件で、いずれも過去最多だった。
白書は「サイバー犯罪そのものだけでなく、大麻購入や闇バイトもインターネットを通じた犯罪。背後に匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)が存在する例も少なくないものとみられる」と指摘する。
危険運転致死傷の摘発も過去最多の783件で、同省は「法改正による罰則強化の是非も、結論を急ぐ必要があるのではないか」としている。