和歌山市の漁港で令和5年4月、岸田文雄前首相の演説直前に爆発物が投げ込まれた事件で、殺人未遂罪などに問われた木村隆二被告(25)の裁判員裁判が4日、和歌山地裁で始まった。要人が狙われたテロ事件の裁判とあってか、庁舎に入るための手荷物検査も実施されるなど厳戒態勢が敷かれた。
地裁では朝から傍聴希望者が列をつくり、一般傍聴席の47席に対し、101人が抽選に参加。和歌山市の70代男性は「大きな事件だっただけに動機は何なのか知りたいと思っている」と話した。
地裁は「警備上の必要があると判断した」として警備を強化した。地裁を訪れた人に対して金属探知機を用いて手荷物検査を実施。一般駐車場の使用を制限したほか、庁舎の2カ所の出入り口を「入る用」と「出る用」に分けて一方通行とし、駐車場や建物内には警察官の姿もあった。
近年でこれほどの警戒態勢をとった例はないという。「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=の死亡を巡る昨年の裁判員裁判でも、法廷内に入るには手荷物検査が必要だったが、庁舎への立ち入りに際し手荷物検査は実施していなかった。
公判は全5回の予定。被告人質問のほか、爆発物の専門家など4人の証人尋問を実施して10日には結審し、19日に判決が言い渡される。