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性別変更の女性を「父」認定 多様化する親子関係に対応し得る法整備必要 上智大・羽生香織教授

産経ニュース 2024年6月21日 21時29分

生物学上の父が女性に性別変更した後に女性パートナーとの間にできた子と、法的な親子関係が認められるかが争われた訴訟で最高裁が21日、女性を「父」と認める判決を出したことについて、上智大の羽生香織教授(家族法)に聞いた。

今回の件は個別的な事案ではあるが、子が認知を求める対象である「父」について最高裁が法的性別を問わないとした点は着目すべきだ。

性同一性障害特例法が制定された当時、今回のように、性別変更前に男性として凍結保存した精子を使って、性別変更後に子をもうける事態は想定されていなかったといえる。

最高裁が、今回のような親子関係を承認した以上、今後は、父は男性であり、母は女性であるという現行民法の前提を見直すべきか検討する必要性が出てくるのではないか。それとともに、生殖補助医療の発展により、多様化しつつある親子関係に対応し得る法整備も求められるだろう。

今回の最高裁の判断は、昨年10月、性別変更の際に生殖能力をなくす手術が必要とする特例法の要件を違憲とした最高裁の方向性とも一致するものだ。今後は、性別変更の際に「現に未成年の子がいないこと」を求める特例法の別の要件の削除も国会で議題となる可能性がある。(聞き手 橘川玲奈)

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