昭和41年の静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定し、再審無罪が言い渡された袴田巌さん(88)について、静岡県警は26日、当時の取り調べが「不適正だった」とする検証結果を公表した。静岡地裁判決が「捏造」を指摘した証拠については「捏造の有無について具体的な事実・証言は得られなかった」とした。
9月の地裁判決は、①袴田さんが自白した検察官調書②犯行着衣とされた「5点の衣類」③5点の衣類の端切れ-は、いずれも捜査機関が捏造したと認定していた。
県警は、再審無罪判決が確定したことを受け、当時の捜査員や現場となったみそ工場従業員らに、事実関係を改めて確認した。
①については、警察による取り調べ状況も検証。袴田さんを逮捕してから自白するまで1日平均約12時間の取り調べが連日行われ、勾留長期化をほのめかして自白を迫っていたとした。また、取り調べ室に便器を持ち込んで排泄させるなど、「いずれも供述の任意性が否定されるような方法で、不適正だった」とした。
一方、②と③については「警察官が捏造したことをうかがわせる具体的な事実や証言を得ることはできなかったが、捏造が行われなかったことを明らかにする具体的な事実・証言も得られなかった」とした。