規制対象の噴霧乾燥機を不正輸出したとして外為法違反罪などに問われ、後に起訴が取り消された精密機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)の社長らが東京都と国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審口頭弁論が25日、東京高裁(太田晃詳裁判長)で開かれ、原告側と都側が最終準備書面を提出し、結審した。判決は来年5月28日。
控訴審で原告側は「立件ありきの捜査だった」とし、輸出規制を所管する経済産業省と警視庁の打ち合わせメモを新証拠として提出。同社製品を「規制対象にあたると判断したことは不合理」で、元取締役への取り調べでも違法行為があったと主張している。
都側は「適正な手続きで必要な捜査が行われていた」と反論。1、2審の証人尋問では現職警察官3人が「事件は捏造」などと捜査を批判したが、都側は「実際の事実関係とは大きく異なる虚構」だとしている。
閉廷後、大川原正明社長(75)は「(判決で)きっちりと警察、検察の悪いところを認めてもらいたい」と語った。
社長ら3人は生物兵器に転用できる噴霧乾燥機を不正輸出したとして令和2年に逮捕、起訴されたが、東京地検は3年、起訴を取り消した。1審東京地裁は5年12月、警視庁と地検の捜査を違法と認定し、国と都に計約1億6000万円の賠償を命じた。