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グロー損賠訴訟 前元理事長らに660万円の支払い命じる 元職員に性暴力やセクハラ

産経ニュース 2024年10月24日 18時47分

障害者の文化芸術活動推進に取り組む社会福祉法人「グロー」(滋賀県近江八幡市)の前理事長、北岡賢剛氏(66)から性暴力やセクハラ、パワハラを繰り返し受けたとして、元職員の女性2人が北岡氏と同法人を相手取って計5254万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、東京地裁であった。野口宣大裁判長は、「人格的利益を違法に侵害する不法行為」と認め、北岡氏とグローに慰謝料など計660万円の支払いを命じた。

判決によると、北岡氏は原告の木村倫さん(仮名)に対し、平成24年8月ごろから、「抱きしめたい」などと記したメールを送信するようになった。さらに約7年の長期間にわたり、タクシー内で臀部(でんぶ)を触るなどの行為を繰り返した。

原告の鈴木朝子さん(同)に対しても、26年11月と27年6月ごろ、ホテルで性加害行為に及ぶなどの不法行為を繰り返した。

ともに、北岡氏が性的欲求を実現させるための行為と認めたが、鈴木さんへの最後の行為は27年6月ごろで、提訴時までに3年の消滅時効が完成しているとして、鈴木さんの請求は認めなかった。

ただ、鈴木さんに対しては、使用者のグローに安全配慮義務違反があったとして、440万円の損害を認めた。

判決後、記者会見した木村さんは「行為のほとんどが不法と認められた。北岡氏には謝ってほしい」。鈴木さんは「消滅時効は納得できないが、怖かったのは性被害を信じてもらえないこと。不法行為が事実認定されてよかった」などと話した。

請求額に対し、賠償額が低かったことについて、弁護団の角田由紀子弁護士は「『人格的利益を違法に侵害した』と認めながら、低すぎる。『人格的利益』が大事なものと認識されていない。この(額の)慰謝料では制裁にならない。もう少し、裁判所はまじめに考えてほしい」と述べた。

グローは28日に判決に対する見解や今後の方針をホームページで発信するとしている。

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