日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(70)の役員報酬を過少記載したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)罪に問われた元代表取締役、グレゴリー・ケリー被告(68)の控訴審判決公判が4日、東京高裁で開かれた。家令和典裁判長は、起訴内容の大半を無罪として懲役6月、執行猶予3年を言い渡した1審東京地裁判決を支持し、検察、被告側双方の控訴を棄却した。弁護側は上告した。
ケリー被告はゴーン被告らと共謀し、平成22~29年度の8年分について、未払い報酬など計約91億円分を除外した報告書を提出したとして起訴された。高裁は1審に続き、このうち29年度分に限って共謀を認定した。
高裁は、ケリー被告が「ゴーン被告への未払い報酬額が具体的に決められていること」を認識していれば虚偽記載の故意が認められるとした上で、22~28年度分には故意が認められないとした1審の結論を支持した。
検察側との司法取引(協議・合意制度)で不起訴になった元秘書室長の供述の信用性も争点となり、1審は検察官の意向に沿う危険性があるとして一部の信用性を認めなかったが、高裁も支持した。
ゴーン被告は金商法違反や会社法違反の罪で起訴されたが、保釈中に中東レバノンに逃亡した。