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「今後近づかない」〝グリ下の帝王〟に懲役7年の実刑判決も、「酌むべき事情」は絶縁宣言

産経ニュース 2024年11月8日 7時0分

「グリ下の帝王」の自称は封印されるのか-。大阪・ミナミのグリコ看板下で出会った女子中学生3人にみだらな行為をするなどしたとして不同意性交罪などに問われた、無職、浦野那生(なお)被告(31)の判決公判が7日、大阪地裁で開かれ、山田裕文裁判長は懲役7年、追徴金7千円(求刑懲役9年、追徴金7千円)の実刑を言い渡した。「犯行は悪質」と指弾しながらも、「今後一切グリ下には近づかない」との誓いを酌むべき事情の1つとした。

山田裁判長は判決理由で、被告はグリ下に出入りしていた少女らと交流サイト(SNS)で連絡を取り、性的自己決定権を侵害し、被害は大きいと指摘。また、薬物の過剰摂取癖のある少年らに対して睡眠導入剤の譲渡を繰り返し「身勝手で軽率な犯行だ」と述べた。

ゲームのキャラクターをあしらった上下の服で法廷に姿を見せた被告。髪形も黒の短髪で、かつての自称「グリ下の帝王」とのイメージとは異なる風貌だった。

「犯情が悪質」「薬物の蔓延(まんえん)を助長した」「身勝手かつ軽率な犯行」…。自身の行為を非難する言葉が並んだ判決の言い渡しを、証言台でまっすぐ前を見ながら聞いていた。

判決によると、昨年12月~今年1月、グリ下で交流のあった女子中学生3人が16歳未満であると知りながら、ホテルやカラオケボックスでみだなら行為をしたほか、当時14~21歳の別の3人に向精神薬計約40錠を譲り渡した。

また、昨年11月には女子中学生にインスタグラムで「寝るところならあるしきたら?」などとメッセージを送り、グリ下で合流した上で自宅に約1週間、連れ込んだ。

被告側は起訴内容をおおむね認めつつ、不同意性交罪の被害者1人について「16歳未満と知らなかった」と主張していた。

この争点について、判決理由で地裁が重視したのは被告の「グリ下」への認識だった。被告は「グリ下に出入りする女性の95%程度が12歳から26歳程度」と考えていた。一方、被害者は実年齢より若く見られることもあったという。

16歳未満であってもグリ下に出入りする可能性を十分頭に入れていた被告と、特に大人びた様子もなかった被害者。こうした事情を考慮し、被害者が16歳未満である「未必的な認識はあった」と認定。「性欲のおもむくままに犯行を重ね、精神的、身体的な被害は甚大」と指弾した。

捜査関係者によると、被告は逮捕前、グリ下に集まる少女らに向精神薬を分け与えたり、トラブルに介入したりして手なずけていたとされる。

一方、公判では「今後一切グリ下に近づかず、交友関係も断ち切り、薬物依存の治療を継続する」と供述し、それが刑を決める上での酌むべき事情として考慮された。被告はこの宣言通りに更生し、今後「グリ下の帝王」を名乗ることはなくなるのか。

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