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子の不登校で苦しむ保護者 2割が離職、1割弱が「死にたい」 精神的・経済的な支援急務

産経ニュース 2024年12月12日 7時10分

不登校の小中学生が11年連続で過去最多を更新した。寄り添う保護者の負担は大きく、ある調査では不登校児の保護者の約2割が離職していた。かつて小学4年生で不登校になった娘のサポートのために仕事を辞めたという母親は、「経済的にも精神的にも追い詰められました」と窮状を訴え、当事者の子供だけでなく保護者への支援も要望した。

失業保険、すぐには給付されず

「不登校の子供がいて働けないのに、失業保険がすぐにもらえないことに愕然(がくぜん)としました。納得できなかったです」。北海道在住の女性(48)は訴えた。

娘が不登校になったのは小学4年生のとき。コールセンターで働くシングルマザーで、当時は月11万~16万円の給与と月約3万5千円の児童扶養手当で生活費の大半を賄っていた。貯金はほとんどなかった。

毎朝のように吐き気で通学できない娘だけを家において仕事を続けることはできず、休職を経て離職。失業保険を申請したものの、「自己都合での退職」とみなされて早期給付の対象外となり、給付開始まで収入が途絶えた。およそ5カ月間は毎日生活費と子供のことで悩み、「精神的にも経済的にも追い詰められていました」と振り返る。

「不登校を理由にした退職も失業保険の早期給付の対象にするなどの支援があれば…。学校からの情報提供も全くなく、孤独でした。同じ学校で不登校児の親同士が交流できたらと強く思いました」と、子供を支える親への支援も切望した。

低年齢化が顕著で親のケアが必須に

子供が不登校になると、親の負担は大きい。不登校の児童生徒ら向けにオンラインフリースクールを運営する「SOZOW」が8~9月、在籍者の親に「不登校によって保護者に起きた変化」を複数回答で聞いたところ、「気分の落ち込み」と「孤独」は半数以上、「体調不良」は4人に1人が感じていた。

加えて、不登校は低年齢化が顕著で、ますます親によるケアが必要となっている。文部科学省の令和5年度の調査によると、不登校の増加率は低学年ほど高く、小学1年生は3年度に比べて倍増し、小学2年生も同1・88倍だった。

親の生活も変わってしまう

働いている親は、まだ幼い子だけを家に置いておけずに、離職や仕事の制限といった対応を迫られる。SOZOWの調査では「仕事を辞めざるを得なかった」と答えた親が2割となり、不登校が小学1~2年時から始まった保護者に限れば、3~4割に上った。離職による経済的困窮を招いたケースもあり、追い詰められて「死にたいと感じた」保護者も11人に1人に達していた。

不登校ジャーナリストの石井しこうさんは「不登校は誰にでも起こり得ることだと認識したうえで、不登校を子供の問題ととらえるのではなく、親が介入してケアしなければならない問題だという現状を知ってほしい」と述べた。

ひきこもりの研究をしている明治学院大の関水徹平准教授も「不登校によって、保護者が退職せざるを得ないなど家庭生活も大きな影響を受けるケースは多く、保護者へのサポートも必要だ」とコメントした。(田中万紀)

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