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<朝晴れエッセー>生きがい

産経ニュース 2024年7月5日 5時0分

こども園に勤めて20年近く、子供服の雑誌からとび出してきたような、かわいい乳幼児の元気な声が聞こえてくるのが私の職場です。

パートとして勤務している私には、ひ孫のような園児との毎日が、自分の年齢を忘れさせてくれます。

泣いている子には、抱っこギュッしてそのわけを聞きます。また、その場に伏して怒りを表す子には「〇〇君は、今、イヤだと言っているのよね」と、心の声を言葉にできない子の味方になって接します。

どの子も素直な心で素直に聞いてくれます。まだ人を疑うことを知らない無垢(むく)なまなざしを向けられると、年老いた私は、一瞬恥ずかしさを覚えながらも、思いっきりの笑顔で応えます。

どんなにわがままで泣き虫で、いたずらっ子でも私にとっては、かわいくって、いじらしくって、いとおしい子に変わりはなく、思いっきり抱きしめたくなるのです。

夕方、パパやママのお迎えを受け「また、あしたね」と、天使のような園児の手にハイタッチするとき、まだまだこの仕事から離れたくないとの思いを再認識します。そして、健康で働く意思さえあれば年齢に関係なく、働く場を与えていただける、この職場にただただ感謝する毎日です。

森田由紀子(84) 大阪府和泉市

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