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キトラ古墳壁画「青龍」、高精度赤外線撮影で全体像解明へ 文化庁が方針示す

産経ニュース 2024年8月28日 20時52分

文化庁は28日、キトラ古墳(7世紀末~8世紀初め、奈良県明日香村)の石室の東壁に描かれた壁画「青龍(せいりゅう)」について、全体像を明らかにするため今年度内に高精度の赤外線撮影を行う方針を示した。青龍は頭部や前足を除いて泥に覆われ、これまでに赤外線撮影を実施したが全容は確認できなかった。同庁は「透過力の高い波長の赤外線を照射することで、輪郭線の検出が期待できる」としている。

同古墳や高松塚古墳(同村)の極彩色壁画の保存活用を議論する文化庁の検討会が京都市内で開かれ、報告された。

キトラ古墳の青龍は東の方角の守り神とされ、長く伸びた赤い舌や踏ん張ったような前足が特徴。長さは西壁に描かれた「白虎」と同様に40センチほどと想定されるが、石室内に流れ込んだ泥によって胴体部分など全容はほとんど不明。

赤外線撮影は平成16年に石室内で行い、壁画保存のために石室からはぎ取られた後の23年にも実施したが、輪郭線などは確認できなかった。今回、さらに透過力の高い波長の長い赤外線を照射することにした。検討会座長の和田晴吾・兵庫県立考古博物館名誉館長は「キトラ古墳や高松塚古墳の壁画は、泥や鉄分に覆われて見えない部分も多い。赤外線撮影によって本来はこういう姿だったと復元できるよう、薄い輪郭線でも見えてほしい」と期待を寄せた。

同日の検討会では、高松塚古墳壁画の保存展示施設についても議論された。施設は令和11年度までのオープンを目指し、同村の国営飛鳥歴史公園内に設置される予定。地元の森川裕一村長は「高松塚古墳を含めて飛鳥の遺跡群は世界文化遺産を目指している。保存展示施設は近鉄飛鳥駅にも近く、まさに玄関口。壁画だけでなく飛鳥全体がイメージでき、海外の人も魅力が分かるような施設にしてもらえれば」と要望した。

和田座長は「専門家によるワーキンググループを作って、展示方法など具体的な内容を詰めていく必要もあるだろう」と話した。

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