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1300年の小川和紙 紙すき体験で知る 小川町和紙体験学習センター  埼玉「館」巡り

産経ニュース 2024年8月10日 10時11分

木造平屋建ての白っぽい壁と赤い瓦葺きが夏空に映える。半月窓や幾何学的なデザインが特徴のアールデコの意匠に目を引かれる。傷みが目立つ壁などの古さがかえって、昭和の役場や学校のようなレトロ感を漂わせていた。

もともと県小川製紙研究所として昭和11年に開所した。本館、工場、倉庫などで構成し、県製紙工業試験場に改称後も同町の和紙産業の発展に貢献してきた。

同町は1300年の歴史を持つ小川和紙を伝承。中でも細川和紙は楮(こうぞ)を原料とした伝統的な手すき和紙として知られ、素朴ながらもつややかな光沢が特長。細川紙の技術は平成26年、ユネスコ無形文化遺産に登録された。

■和紙文化継承で再出発

その貴重な和紙文化を伝えていくため、同町が平成11年、和紙体験学習センターとして再出発させた。

目玉は自らの手で実際に和紙を作るプロセスの体験だ。指導には伝統工芸士の若林正良さんらが当たる。

8月の昼下がり、体験に訪れた県立鷲宮高校書道部員たちに出会った。解説を聴いた後、一人一人「すき舟」の前で紙すきに挑戦。若林さんの手ほどきを受け試行錯誤しつつも初挑戦を楽しんだようだった。3年の男子部員は「力の入れ方が難しかった」と話した。

部では今後、その和紙を使ってそれぞれの作品を仕上げ文化祭で発表するそうだ。

令和5年度にセンターに体験に訪れたのは1885人。手軽な入門コースのほか最長4日間の本格体験コースも用意され、「職人を目指す人やクリエイターらの参加もある」(若林さん)という。

センターではこのほか多種多様な和紙や、和紙のアート作品、道具類も展示。和紙製造の往時の模様などをとらえた貴重な写真パネルなども一見の価値がありそうだ。(柳原一哉)

■小川町和紙体験学習センター 昭和11年、県小川製紙研究所として開所。同町に移管された平成11年以降は、ユネスコ重要無形文化遺産登録の「細川紙の技術」などの継承のため、手すき体験のほか和紙などの展示、施設見学などを行っている。

■アクセスガイド 小川町大字小川226。JR小川町駅徒歩約10分。午前9時~午後4時。火曜定休。入館料無料。紙すき体験料はAコース1500円▽1日コース5千円▽4日間コース2万円。電話(0493・72・7262)で予約を受け付ける。

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