作家、三島由紀夫の生誕から100年目を迎えた14日、作品や人生を振り返る「三島由紀夫・生誕百年の集い」が東京・永田町で開かれた。「金閣寺」など三島作品の舞台を手がけた演出家の宮本亜門さんや、生前の三島の姿を知る俳優らの話にファンら約400人が耳を傾けた。
途方もない情熱と思いやり
集会は、三島の作品や思想などを研究する有識者らの団体「三島由紀夫研究会」などが主催した。文学や思想など4つのテーマを取り上げ、このうち演劇については「鹿鳴館」など三島演劇の多くの作品でヒロインを演じた村松英子さんと「金閣寺」などを舞台化した宮本さんが対談した。
村松さんは「『ぼくの戯曲で育てたい』といわれて、大役を多くもらったが、肩で息をしている感じだった」と当時を振り返った。三島の代表作の一つ「サド侯爵夫人」に出演する際には、事前に「きみにぴったりの役を作るよ」と三島本人に声をかけられた逸話も披露した。
村松さんは「途方もない情熱と人への思いやりを持った人で人生の手本になった。近くにいられたことを誇りに、ありがたく思っている」と恩人である三島をしのんだ。
宮本さんは生前、三島が「一番いい出来のいい作品」と語っていたサド侯爵夫人の舞台演出を手がける予定で「作品を読むたびに心が震える」と話した。
三島は大正14年生まれ。昭和45年11月に東京・市谷の自衛隊駐屯地で自決した。