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<朝晴れエッセー>朝の一コマ

産経ニュース 2025年1月6日 5時0分

私は、まぶしい朝日に目を細めながら、洗濯物を干すのが大好きである。わが家は、5階で南向きのベランダがあり、この眺望にほれこんで、主人と意気投合し、20年前に居を構えた。

そして、朝は、小学生が黄色帽子をかぶり、ランドセルを背負って、元気に登校する姿が目に飛び込んでくる。班長さんらしく旗を振りながら後ろを振り向く女子、まだ1年生なのか背中よりランドセルの方が大きな男子、楽しそうにおしゃべりしながら歩く女子、自分の通学班に遅刻したのかお母さんと手をつないで歩く男子…。思わず、洗濯物を干す手を止めて見てしまうぐらい朝の一コマはおもしろい。

思えば、一人息子が小学校時代、「行ってきます」「行ってらっしゃい」と玄関で見送った後、ベランダに走り息子が登校する姿を見守っていた。低学年の頃は、目が合うと手を振りあったが、高学年になると、手を振っても「ハイハイ、わかってるよ」と言わんばかりに、うなずくだけになった。一抹の寂しさを感じながらも、息子の成長の一つと前向きに考えた。

今、そんな息子は、大学院1年生で就活真っただ中である。私には、黄色帽子をかぶって登校していた頃が、ついこの間のことのように思われる。自身の希望の職に就けることを朝日を浴びながら、母は願っています。

福森真知(54) 京都府木津川市

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