デジタル技術で再現した葛飾北斎の作品を鑑賞できる展覧会「Digital×北斎【急章】その2」が、東京都新宿区のNTTインターコミュニケーション・センターで開催されている。来年3月30日まで。
NTT東日本とNTT ArtTechnology、デジタル複製分野で高い技術を持つアルステクネが連携。3社はこれまで、作品の凹凸や光沢など質感までも高精細に再現するDTIP(超高品位質感情報記録処理技術)を駆使した北斎の再現作品の展覧会を開催してきた。今回は「真正の画工 創造と革新の道」と題して、自らを職人「画工(えだくみ)」と称し、幕府や藩お抱えの絵師とは一線を画して、在野で現代のマルチクリエーターに近い感覚で創造性を発揮していた北斎の姿を紹介する。
注目は晩年の北斎が手がけた祭屋台。「東町祭屋台」では鳳凰と龍の天井絵を制作、「上町祭屋台」では天井絵に加え、飾り人形の監修も行い、北斎が唯一創作にかかわった立体作品としても知られる。今回は天井絵の複製に加え、「上町祭屋台」を3Dデジタルアプリケーションによって、さまざまな角度から鑑賞することができる。
肉筆画の再現展示も。通常は作品保護のために厳密な制限下で公開せざるを得ないが、本展ではアクリル板にさえぎられることなくアートに迫ることができる。アルステクネの久保田巖・代表取締役社長は「実物とほとんど違いが分からないレベルのリマスターアートを、間近で鑑賞できる貴重な機会」としている。