東京・JR中野駅周辺の街なかを美術館に見立て、既存の美術教育を受けていない「アール・ブリュット」の作家が生み出した作品の数々を展示するイベント「NAKANO街中まるごと美術館」が開催されている。23日まで。
フランス語で「生(き)の芸術」を意味するアール・ブリュットは、障害者が手掛ける芸術作品も多い。
イベントでは、障害のある作家20人が生み出した独創性あふれる絵画や陶芸作品など計約270点を展示。日本人のほか、ベルギーからも複数の作家が出展している。中野駅から北に伸びる「中野サンモール商店街」のアーケードでは巨大なバナー(垂れ幕)で各作品を紹介。イベントスペースや企業の店舗などにも一部作品を展示している。
イベントは今年で15回を迎え、中野の冬の風物詩としても定着。企画に携わる社会福祉法人・愛成会の渡辺昌美さんは「アール・ブリュット作品は、多様な表現や個性を認めるきっかけになり、人と人とをつなぐ力がある。街中でさまざまな作品に触れ、新たな発見や視野が広がる契機になってほしい」と話している。(重川航太朗)