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<朝晴れエッセー>親切な若者への感謝

産経ニュース 2024年9月23日 5時0分

友人と久しぶりに、懇親会をやろうと決め、友人行きつけの、JR西宮駅から、徒歩10分の居酒屋で合流することにした。私は友人から送られてきた地図を頼りに店を目指した。

方向音痴である私は、午後5時の暑い中、道を間違い迷っていた。暑さと疲れが限界になり、誰かに尋ねようとしたところ、私の隣に歩いていた茶髪の若い男性に地図を見せ、「この店に行きたいのですが」と尋ねた。

男性は、スマホのヘッドホンを耳からすぐに外し、地図を見た。そして「ああここですか、私もこの方向の自宅に帰る途中ですので、ついてきてください」と言って、歩き始めた。

足の弱い私は、若い男性に後れをとってしまった。男性は、振り返ると、すぐに私のところに戻り「足がお悪いのですね、ゆっくりと歩きましょう」と言い、私の速度に合わせてくれた。

雑談をしながら、ある建物の前で立ち止まり、若者は声をかけた。「この店ですよ、2階ですので気を付けて上がってください」と笑って、手を振って去った。その若者は、反対の方向に向かって歩いていった。店が見つかるまで、わざわざここまで遠回りしてくれたのかと思い、私はその若者が見えなくなるまで、感謝で頭を下げた。

平野順三(77) 神戸市垂水区

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