四十肩にむち打って、親戚の稲刈りの手伝いに行った。都会で育ち晩婚で嫁いだ私には初めての体験。大変だよとは聞いていたが、朝の5時には目が覚めて少しワクワクしていた。
集合場所の田んぼに到着すると、もう作業が始まっていた。見渡す限り黄金色の田園。その一区画が刈り取られ、義父が稲を掛け干しするための支柱を組み立てていた。
挨拶もそこそこに軍手をつけて足りない支柱を義父の元へ運ぶ。2メートル以上ある鉄の棒2本ワンセットが重い。ふと見ると、義伯父の奥さんはツーセットまとめて運んでいる。「無理しなくていいよ」と優しい言葉を掛けられながら、一瞬で汗だくになった。
今の時代、刈り取った稲は機械乾燥が主流だが、手作業で稲を掛け干しすることでよりおいしいお米になるそうだ。いつの間にか義母の姉と妹も来ていて総勢11人。みんなでおしゃべりをしながら組み立てた支柱に束になった稲を次々と掛けていく。気が付けば昔ながらの風景が出来上がっていた。
スーパーからお米が消えたと騒がれている今、まだまだお元気とはいえこの重労働に集まったほとんどが70代、80代。尊敬とともに、今朝のおいしいお米ひと口をかみしめた。
伊東美樹(44) 宮崎市