大学生の孫は、この夏休みに自動車の運転免許証を取ったが、取得後は一度もハンドルを握ってないと言う。
そこで、秋のお彼岸の妻への墓参り後、運転感覚を鈍らしてはいけないと思い、初心者マークを持っていたので帰路は運転してもらうことにした。
娘は、「やめて、やめて」と母親として心配していたが、他の家族は興味津々とばかりに何も言わずに、後部座席で運転を見守っていた。
助手席の私は運転教官役として見守り、初めは教習車とサイドブレーキなどの操作方法が違うので戸惑いながらも、制限速度の順守や道路標識の厳守などを指導し、後続車に迷惑をかけながらも、何とかわが家の駐車場にたどり着くことができた。
その途中で、娘が息子の初運転から蘇ったのか、40年前にわが家で初購入のマイカーを、私が初めて運転するときに同乗したときのことを語った。それは「大回りのカーブで反対車線にはみ出しそうになり、体が座席から飛び上がるほどの急ブレーキをかけた」と言うのである。私には記憶がなく、運転する息子への戒めの言葉と聞こえた。
娘家族が帰宅後、まずは「孫の初運転」が無事済んだことを仏壇の妻に報告した。
峰尾勝己(74) 東京都八王子市