パリも認めた新進気鋭の画家、石村嘉成(よしなり)さん(30)の半生を描いた映画が15日から神戸で上映される。映画には本人も出演。色彩豊かな躍動感あふれる動物たちに命が吹き込まれる瞬間を映し出す。岡山・愛媛で約8万人を動員した「石村嘉成展」は現在、兵庫県立美術館ギャラリー(神戸市中央区)で開催されており、映画と展覧会を同時に楽しめるまたとない機会になりそうだ。
愛媛県新居浜市で生まれた石村さんは2歳半で自閉症と診断された。パニックになったり大泣きしたりして暴れる息子に困り果てた両親は、地元の療育(発達支援)施設の所長が掲げる「知識ある愛」をもって、叱らないけど譲らない療育を行き届かせる-という療育方針に共鳴。母・有希子さんの厳しくも愛に満ちた療育が石村さんの基礎を作っていったが、石村さんが小5のときに、有希子さんはがんで亡くなった。
高3のときに授業で版画と出合い、地元・愛媛のデザインコンクールで入選したことをきっかけに才能が開花。絵も描き始め、フランスの「新エコールドパリ浮世・絵展」で優秀賞を受賞するなど国内外で多くの賞を重ねていく-。
そんな石村さんの半生を描いた映画「新居浜ひかり物語 青いライオン」には女優の竹下景子さんや檀ふみさんらが出演。ドキュメンタリーパートでは石村さんも出演しキャンバスに筆を走らせる姿を映し出す。
映画を制作したRSK山陽放送(岡山)の担当者はタイトルについて「石村さんはお母さんから『優しくて強い人になってね』といわれており、『ライオン』はその象徴。そこに新居浜の海と空の色を重ねた」と説明。作品を通じて「どんな人にも秘めた可能性があるということを知ってもらえたら」と話している。
映画は15日から「kino cinema神戸国際」(神戸市)で公開。16日には同館で午後6時からの回の上映後に石村さんらによる舞台あいさつが行われる。22日からは「アースシネマズ姫路」(兵庫県姫路市)でも上映される。
展覧会の詳細は公式サイト=2次元コード。