今月10日にノルウェー・オスロで開かれるノーベル平和賞の授賞式に参加する日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳(てるみ)代表委員(92)らが2日、出発を前に東京都内で記者会見を開いた。授賞式で講演する田中さんは「核をなくさないといけないと思っていない人にも、核兵器廃絶への気持ちを持ってもらうきっかけになれば」と意気込んだ。
オスロ市庁舎で行われる授賞式では、田中さんら3人の代表委員が登壇。メダルや賞状を授与され、田中さんは約20分間、被団協のこれまでの活動の歴史や自らの被爆体験について話す。
原稿は被団協の関係者らと約1カ月間かけて、ともに活動し亡くなった被爆者の顔を思い浮かべながら書き上げたという。講演ではノーベル賞委員会が受賞理由の一つにあげた若者への継承についても触れる予定で、田中さんは「『若者に期待する』という言葉は言う」と話した。
中学1年の時に長崎市で被爆した田中さんは、日本被団協の事務局長を長年務め、平成29年に代表委員に就任。被爆の実相を世界に訴え続け、核兵器廃絶運動を牽引(けんいん)してきた。
田中さんら授賞式に出席する被団協の代表団は8日に出国し、10日の授賞式には約30人の被団協の代表団が出席するほか、晩餐(ばんさん)会も行われる。帰国は13日を予定している。