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<朝晴れエッセー>私の放送大学

産経ニュース 2024年11月12日 5時0分

4年前の夏、コロナで外出ができなくなり、それまで続けていた大学の聴講も募集停止された。草取りをしながらどうしようかと考えた。そして放送大学なら自宅でできると思い入学した。授業を受け、知らない世界を知ることは大きな喜びだった。

いくつかの授業の中で、ある教授がこんなことをおっしゃった。「皆さんは一人で勉強していると思っているかもしれませんが、決してそうではありません。全国で8万人以上の方が朝も夜も放送を見て聞いて学んでいます。決して一人ではありません」。この言葉に励まされて続けることができた。

試験は易しいものではなかったが、卒業を目指してコツコツと挑戦した。そして家族の誰もが思ってもいなかった、高校卒業以来61年ぶりの卒業証書を手にした。卒業式には若い人、高齢の人、多くのお仲間が式場に集まっていた。盲導犬を連れて出席された方もいらした。私にこんな時間と喜びが持てたことに自分が一番驚いている。

これからは行きたかった博物館、美術館などへ行き、点と点が線につながり「見つけた。これだった」に会いたい。まずは国立科学博物館へ行って骨格化石から復元された猿人女性ルーシーに会い、「貴女(あなた)に会いたかった」と話してきたい。

関美知子(80) 静岡県磐田市

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