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1年間の発掘成果を紹介、橿考研「大和を掘る」 奈良県内最大級の甕も展示

産経ニュース 2024年8月29日 20時27分

奈良県内遺跡の1年間の発掘成果を紹介する「大和を掘る」が奈良県橿原市畝傍町の県立橿原考古学研究所付属博物館で開かれている。縄文時代の土器や平城京跡で見つかった県内最大級の甕(かめ)、東大寺や法隆寺の瓦など古代から江戸時代までの約400点を展示。担当者は「さまざまな時代の出土品を一度に見ることができ、歴史に興味をもってもらうきっかけになれば」と話す。9月16日まで。

同館では毎年、同研究所だけでなく市町村などが発掘した遺跡を紹介。今回は、田原本町の宮古平塚古墳(6世紀前半、方墳)で出土した国内初の完全な形の太鼓形埴輪(はにわ)、大王墓とされる広陵町の巣山古墳(4世紀末~5世紀初め、全長220メートル)の竪穴式石室の発掘状況などについて展示する。

東大寺境内の発掘では、大仏殿周辺から奈良時代の石敷き遺構などが出土し、大仏殿の当初の基壇は東西約97メートルと確認された。また、「天福元年」(1233年)と記された瓦も見つかり、治承4(1180)年の平氏による南都焼き討ち後に戒壇院が再建された際の瓦といい、東大寺の歴史をたどることができる。

奈良市の平城京跡で見つかった大甕(直径97センチ)は高さ55センチ分が残り、復元すると400~500リットルの水が入るという。平城京跡の別の発掘現場では、井戸の底にほぼ完全な形の土器が複数置かれた状態で出土し、祭祀(さいし)の跡ともみられている。

橿原市の芝ノ前遺跡では室町時代の常滑(とこなめ)焼の甕が発掘され、火葬骨を納めた蔵骨器とされる。木村理恵主任研究員は「大型の甕は水や酒を貯蔵する以外に、墓にも用いられた点が興味深い」と話す。

入館料は大人400円、高校・大学生300円、小中学生200円。月曜休館(祝日を除く)。発掘成果の報告会が、9月14日の午後1時から、同研究所講堂で行われる(聴講無料)。今月31日にも予定されていたが、台風のため中止となった。問い合わせは同館(0744・24・1185)。

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