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熱中症対策、塩分も意識して◀◀汗大量なら、水500ミリリットル+ひとつまみ

産経ニュース 2024年8月8日 8時0分

猛烈な暑さが続くなか、常に心がけたいのが「熱中症対策」だ。今回は、外出などで汗をかいたあとの注意点を中心に、専門家に聞いた。

「大量に汗をかくと、水分だけでなく塩分も失う。水と塩分の両方を補うことが大事」と熱中症の予防について語るのは、帝京大病院(東京)の三宅康史・高度救命救急センター長だ。

成人は1日に汗や尿などで約2・5リットルの水分を体から排出するとされる。夏は特に汗をかく量が増えるため、脱水しないように適切な水分摂取が必要となる。しかし水分だけ補えばよいわけではない。塩分も適度にとらないと、熱中症を招きやすくなるという。

メカニズムはこうだ。汗をかいたときに水だけ大量に飲むと、体内の塩分濃度が低下。すると塩分濃度を上げるため、尿を排出。体の脱水がますます進み、熱中症のさまざまな症状を引き起こしてしまう。

持病ある人は注意

熱中症予防のために、適量の塩分をとるには、どうすればいいのか。

汗を多めにかいたあとの水分補給に三宅さんが推奨するのは、500ミリリットルの水に対して、塩ひとつまみ(約0・5~1グラム)の摂取だ。この割合が汗の塩分濃度に近いという。

基本的に汗を大量にかくようなことがなければ、3度の食事で必要な塩分を摂取すればよい。そのため「なるべく食事は抜かないで。もし抜いたときも水分と塩分の摂取を意識してとるようにしてほしい」とも話す。「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によると、成人の1日の目標量は、男性7・5グラム未満、女性6・5グラム未満だ。

一方で高血圧や心臓病、腎臓病などで減塩が必要な人は、暑くて汗をかいたあと、塩分を余分にとらず、「体を冷やす」ことが優先となる。「クーラーを効かせたり、日陰に移ったりして暑い環境に身を置かないことが大事。水分を補給し、体を休めるように」と三宅さんはすすめる。

お盆以降も予防を

熱中症予防のための塩分補給の必要性は、おおむね定着してきているようだ。

食品メーカー「カバヤ食品」(岡山市)が6月、調査会社を介して20~60代の男女1千人に聞いたところ、発汗時に何らかの塩分摂取の工夫をするとの答えが計58・2%に上った。

食事以外での塩分補給の具体的な方法を複数回答(対象470人)で尋ねたところ、スポーツドリンクのほかに、飴(あめ)、麦茶、ラムネ菓子などが挙がった。しかし、三宅さんによると「麦茶」の塩分はあってもわずかで「他の選択肢と同じように、麦茶で塩分の摂取ができていると認識するのは間違い」だという。

帝京大病院高度救命救急センターでは、毎年7月下旬から8月上旬にかけて、熱中症の患者数が増え、お盆の時期を挟んで、8月下旬にまた増える。三宅さんは「これらの時期にはしっかりと熱中症の予防を」と呼びかける。

厚生労働省の人口動態統計によると、令和4年まで5年連続で熱中症による死亡者の8割以上を65歳以上の高齢者が占めた。三宅さんは「1人暮らしの高齢者や老夫婦が屋内で熱中症になると、誰にも気付いてもらえずに重症化しやすい。熱中症と熱がでる新型コロナなどを併発してしまうと症状が悪化する危険性もある」と注意を促した。(竹中文)

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