大麻を「麻薬」と位置づけ、他の規制薬物と同様に使用罪を適用する麻薬取締法と大麻取締法の改正法の一部が12日、施行された。若者らを中心とする大麻乱用の取り締まりを強化するほか、医療現場では安全性や有効性が確認された大麻抽出成分を含む医薬品が活用できるようになる。
改正法は、大麻と幻覚作用などを引き起こす大麻由来の有害成分「テトラヒドロカンナビノール(THC)」を「麻薬」と位置づける。大麻の不正所持などとともに、使用も麻薬取締法で7年以下の懲役となる。
従来の大麻取締法は使用罪がなく、薬物検査で陽性反応が出たとしても所持に関する証拠が十分でなければ、取り締まることができず、若年層の乱用拡大の一因になっているとの指摘があった。
厚生労働省によると、令和5年の大麻事件の摘発者は過去最多の6703人で初めて覚醒剤を上回り、このうちの約7割が30歳未満だった。交流サイト(SNS)では大麻に「害はない」とする誤った情報も散見され、改正で摘発とともに啓発を強化し、乱用拡大に歯止めをかけたい狙いもある。
一方、改正で、大麻由来成分を含む医療品の禁止規定が削除された。海外では、大麻由来成分の「カンナビジオール(CBD)」を含む難治性てんかん治療薬が薬事承認されており、国内でも使えるよう解禁を求める声が高まっていた。
また、CBDはリラックス効果もあるとされ、CBDを含むサプリメントや化粧水、ゼリーなど幅広く流通。ただ、CBDを謳(うた)いながら有害成分のTHCが残るものもあることなどから、改正では、製品中に残るTHCに限界値が設けられ、値を超える場合は麻薬として規制対象となった。
これまでの大麻取締法は栽培関連に特化した内容となり、名称を変えて来年3月に施行される。