厚生労働省は26日、フィリピン、ネパール、ベトナムのアジア3カ国から日本に中長期間滞在を予定する人に、結核を発病していないか入国前に調べる検査を義務付ける制度を来年6月から順次始める。同日の厚生科学審議会結核部会に方針を示し、了承された。制度開始後、3年をめどに必要な見直しを検討する。
対象は、日本国内で結核患者が多いフィリピン、ネパール、ベトナムから3カ月以上の滞在を希望する人。ベトナムは9月から始める。ビザ発給前に日本政府が指定した現地の医療機関で胸部エックス線検査などを受けてもらい、結核の発病がなければ証明書を即日交付する。有効期限は原則6カ月。検査で発病が判明すれば、ビザを発給しない。
入国前検査は、新規患者が国内で増加傾向にあることから、患者の多い上位アジア6カ国を対象に、東京五輪・パラリンピックの開催に合わせた令和2年7月に導入が予定されていたが、新型コロナウイルス禍の影響で延期となった。インドネシア、ミャンマー、中国も検査の導入が決まっており、調整を進めている。
厚労省によると、令和5年に国内で新たに登録された結核患者は1万96人。このうち外国出身者の割合は16・0%で、増加傾向が続く。