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麻倉未稀さん「音楽通し検診の大切さ伝えたい」 乳がん啓発のピンクリボン月間迎え

産経ニュース 2024年10月7日 17時6分

乳がんの早期発見を啓発するピンクリボン月間の10月を迎え、神奈川県内を代表する歌手、麻倉未稀さん(64)が、がん検診の大切さを訴えている。自身も乳がんを経験した麻倉さんは、患者の不安を和らげるために支援しようとNPO法人を立ち上げ、音楽イベントなどに精力的に取り組んでいる。

テレビ番組の健康診断で乳がん発覚

県内の高校を舞台にし、一世を風靡(ふうび)した学園ドラマ「スクール☆ウォーズ」の主題歌「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」のヒットで知られる麻倉さん。今回のピンクリボン月間に合わせ、公共施設や観光施設がピンク色にライトアップされた様子を海上から写真撮影する特別企画「ピンクリボンライトアップフォトクルーズ2024」を5日に開催した。

19日と20日には、横浜市の開港記念会館で開催される合唱イベント『Neo☆Stars Power Chorus FES 2024』にも参加する。

麻倉さんの乳がんが見つかったのは平成29年4月。テレビ番組の企画で受けた健康診断がきっかけだった。大学病院での精密検査の帰り道、東京駅から藤沢駅までのJR東海道本線の車内で仕事への影響などを考えた。約40分後、大船駅を過ぎたあたりで覚悟を決めた。藤沢駅で降車し、すぐさま事務所に電話し、「全てオープンにします」と告げた。

大切な人にもつらい思い

発見前の数年間、健康診断を受けていなかった時期は、夫が大病を患って入院していたときと重なっていた。夫が「病気に気づけなかったのは自分のせいだ」と後悔を口にしていたと家族から聞かされた。がんという病は、自分自身だけでなく、大切な人にもつらい思いをさせてしまう。早期発見の大切さを改めて痛感した。

「一日一日をどうやって生きるかを、今まで以上に考えるようになった」と麻倉さん。30年春、麻倉さんは藤沢市出身で「プリンセス プリンセス」のドラマーとして知られる富田京子さんと「ピンクリボンふじさわ」を立ち上げ、歌などを通じた啓発に乗り出した。

令和2年7月には、NPO法人「あいおぷらす」を設立。新型コロナウイルス禍では大規模なイベントはできなかったが、がんなどの病気に苦しむ人の相談活動や、がんの研究者への寄付などに取り組んできた。

音楽を通して検診の大切さ伝える

「歌手として、音楽を通して検診の大切さを伝えたい」。落ちこぼれラグビー部を熱血教師たちが立て直し、全国優勝を果たすまでを描いた「スクール☆ウォーズ」は、病気や不幸な事故などで部員たちが命を落とし、生や死を考えさせられる。名場面では必ず麻倉さんの歌が流れ、心揺さぶる展開に多くの視聴者が勇気づけられた。

「You need a hero」-。誰もが誰かのヒーローになれることを歌った歌詞のように、麻倉さんは乳がんと闘う人を応援している。(高木克聡)

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