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2年前に手術した直腸がんが、骨盤内に局所再発 良い治療法はないでしょうか? がん電話相談から

産経ニュース 2024年10月22日 9時0分

がん患者の悩みに答える「がん電話相談」。今回は直腸がんが再発した37歳の男性に、がん研有明病院の大腸外科部長兼直腸がん集学的治療センター長の秋吉高志医師が助言します。

――2年前に直腸がんと診断され、直腸切除術(直腸を部分切除し、肛門と括約筋は温存)と一時的人工肛門造設術を受けましたが、3カ月後の人工肛門閉鎖の手術の際に、肝臓と肺に転移が見つかりました。転移した腫瘍は化学療法とラジオ波焼灼療法(RFA)で、かなり小さくなったものの、今年1月に新たに骨盤内に局所再発が見つかりました。重粒子線治療(放射線治療の一つ)を受けられないか調べてもらいましたが、適応外といわれました。RFAも難しいそうです。他に良い治療法はないでしょうか。

「治療の経緯は?」

――初回手術は、放射線療法とゼロックス療法(カペシタビンとオキサリプラチン併用化学療法)で腫瘍を小さくしてから受けました。医師からは腫瘍と前立腺との距離が近く、再発のリスクが高いとして直腸切断術(直腸と肛門、括約筋を切除)を勧められたものの、肛門を温存できるようにこの方法を選びました。

「転移発覚後の治療も詳しく教えてください」

肝臓と肺の転移はRFAと並行してフォルフィリ療法(イリノテカン、レボホリナート、フルオロウラシルの併用化学療法)と、分子標的治療薬のセツキシマブによる治療を受けました。骨盤内再発後は、血管新生阻害薬のベバシズマブと、トリフルリジン・チピラシル配合錠(経口抗がん剤)で治療しています。

「骨盤内の局所再発の治療について、主治医からどんな提案を受けましたか」

――手術に積極的ではないようです。希望するなら骨盤内臓全摘術(直腸と膀胱、尿道、男性の場合は前立腺、精嚢などを切除)となり、ダブル・ストーマ(人工膀胱と人工肛門の造設)になると言われましたが、私は骨盤内臓全摘術ではなく、初回のような局所手術を希望しています。

「骨盤内の局所再発に外科手術が最も有効だというのは間違いありません。ただそれが局所手術だと、再発病巣が前立腺や尿道の近くにある場合、完全に切除するのが困難です。中途半端に切除してもまた局所再発を起こしてしまいます」

――他の治療法はないでしょうか。

「重粒子線治療も適応外だとなると、骨盤内臓全摘術、あるいは抗がん剤を継続しながら痛みなどの症状を緩和する治療が候補になります。ただ、骨盤内臓全摘術は、手術そのもののリスクが大きい上に、術後合併症で抗がん剤が使えなくなる可能性もあります」

「術後の生活の質の低下も避けられず、手術を受けることで失うものも多いです。そのため、今回のように肝臓や肺など他の臓器に複数の転移があり、すべてのがんの切除が難しい場合は、骨盤内臓全摘術を行っても根治(治癒)に至ることは難しく、積極的にお勧めはできません。緩和ケアを含めて総合的に判断されることをお勧めします」

「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月~木曜日(祝日・振替休日を除く)午前11時~午後3時に実施しています。電話は03・5531・0110、03・5531・0133。相談はカウンセラーが無料で受け付けます。相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

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