Q 更年期の症状は男性にも出るのですか
A はい、更年期の症状は女性だけと思われがちですが、男性にもあります。男性の更年期はLOH(ロー)症候群や加齢性腺機能低下症と呼ばれます。女性は女性ホルモンであるエストロゲンの減少で発症するのに対し、男性は男性ホルモンであるテストステロンが減るために発症します。発汗やのぼせ、関節痛、不安、不眠、性欲低下などの身体的、精神的な症状が表れます
Q 男性もホルモンの減少で発症するのですね
A 女性は40代半ばから50代半ばにかけてホルモン分泌が一気に減少し、閉経で分泌が停止するため多様な症状が強く表れる場合があるのに対し、男性は40代あたりから緩やかに減っていき、終わりがありません。男性は発症時期や症状のある期間がさまざまだということです。個人差が大きく、まったく症状を感じない人もいます。ホルモンのほか、ストレスや生活環境なども発症にかかわってきます
Q 男性の場合、どの科を受診するのでしょうか
A 泌尿器科を受診するのがいいでしょう。薬物療法や生活習慣の見直し、カウンセリングなどの治療につながっていきます
Q 男性の更年期ということ自体、あまり知られていません
A 自分の症状が更年期によるものだと知らなかった男性もかなりいます
Q 更年期は女性だけの問題ではないのですね
A 社会の問題です。更年期の症状がある人のうち、「離職した」「離職を検討した」人は女性で2割弱、男性で2割強もいます。それでも「自分は更年期です」と打ち明けている人は多くありません。治療法もありますから、我慢せずにつらいときは休む、お互いさまの意識を持つ、家庭でも職場でも何でも言い合える環境をつくる。男性も女性も支え合える社会にしていけば、更年期の不調を乗り切れると思います
(回答者 昭和大医学部准教授 有馬牧子)
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11月は「遺族年金」です。