日本美術史は、外来文化を模倣する時代と、取り入れたものを独自に熟成させる時代が、波のように交互に訪れてきたという。日本中世絵画史が専門の著者が、仏像から西洋画まで、模倣と熟成の視点で楽しく解説。
最初の波は仏教伝来。それ以前は目に見えない神々を拝んでいた。百済の聖明王から仏像を贈られた欽明天皇は「見てびっくり」。北魏の仏像を手本にした飛鳥時代の仏像はやせ形だった。遣隋使や遣唐使が送られるようになると、様式が変わる。
王朝文化の熟成を経て、鎌倉時代に新技術の水墨画が入ってくる。室町時代の雪舟は明で水墨画を学んだ帰国僧で、「中国帰り」の肩書をフル活用したそう。 (ちくま新書・1430円)