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<書評>『生き延びるために芸術は必要か』森村泰昌著

産経ニュース 2024年6月23日 7時40分

絵画中の人物に扮(ふん)したセルフポートレートで「私」とは何かを問い続ける美術家が、「生き延びる」とはどういうことかを、大学などでの講義を下敷きにつづった。

人工知能(AI)やパンデミック(感染爆発)など現代的課題も含む8話で構成。明治の画家、青木繁がいかに時代と向き合ったかを追った第7話では、司馬遼太郎『坂の上の雲』、夏目漱石『三四郎』といった小説から激動の明治を読み解く。

「おわりに」では三島由紀夫『金閣寺』を通じ、生きづらさから逃れられなかった三島の人生を論じている。読書好きにも楽しい一冊だ。(光文社新書・1210円)

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