『Nobさんの飛行機画帖 イカロス飛行隊<新装版>』下田信夫著(潮書房光人新社・2090円)漫画家の鳥山明氏をはじめ多くのクリエーターや航空業界関係者に敬愛された「ヒコーキ画伯ノブさん」こと、下田信夫氏(1949~2018年)。航空機を描いた作品群は、丸みのある独特のタッチでデフォルメされた機体が特徴だ。
15年ぶりの復刊となる『Nobさんの飛行機画帖 イカロス飛行隊<新装版>』は代表作の一つ。イラストで振り返る世界航空史をテーマに、人類初の動力飛行に成功したライトフライヤーから戦後の超音速戦闘機まで400機を紹介している。
月刊誌『丸』に連載された作品のほか、表紙と巻頭にカラーの描き下ろし水彩画イラストも収録。米軍の超音速戦闘機「F-102」が飛び立つ表紙はノブさんのお気に入りだ。巻頭に挿入された三式戦闘機「飛燕」は本土防衛戦でB29爆撃機を相次ぎ撃破した名機として知られるが、ノブさんは名刀「関の孫六」を装備したプロペラでB29をぶった斬るという空想を混ぜ込んで仕上げた。遊び心が詰まった一枚だ。
全126ページのうち20ページを割いた「女性飛行士あの人この人」は草創期に活躍した女性飛行士たちの似顔絵イラストと逸話がふんだんに詰め込まれ、ノブさんが抱いた「空の人々」への好奇心が伝わってくる。(つ)