将棋への藤井聡太七冠の思いと歩みを描いた絵本『ぼくは 将棋で 世界を えがく 藤井聡太ものがたり』(世界文化社)が発売された。書店から注文が殺到し、発売前から重版が決まるなど人気を集めている。担当編集者の北野智子さんは「何度読んでも新しい発見があるように作りました」と話す。
藤井七冠は、5歳のときに祖母から将棋セットを贈られたことがきっかけで、将棋の世界に没頭。仲間と切磋琢磨(せっさたくま)し、負ける悔しさを乗り越え、頭角を現していった。史上最年少の14歳2カ月でプロ入りを達成。昨年10月には史上初めて8大タイトルを手に入れた。
本人の話をもとに山本省三さんが文章をつづり、山田花菜さんが絵を描いた。日本将棋連盟監修で、藤井七冠が作った詰将棋、メッセージなども収録されている。
今を生きる著名人の半生を振り返るとあって、北野さんは「さまざまなエピソードを一本筋の通ったストーリーにするのが難しかった」と振り返る。藤井七冠の表情を繊細に描き分け、盤上の将棋の駒たちが竹刀を手に戦っている様子など、子供たちが読んでワクワクするような絵作りにもこだわった。
北野さん自身も将棋を愛しており、「好きになったものは、世界を広げてくれる」と力を込める。そのうえで「苦しいときに、憧れのお兄さんはどう過ごしてきたのかを知ることは、子供たちの励みになるはず」とほほえんだ。