大振りのエビにサーモン、マグロ、ウニ、イクラが乗った握りずしの表紙絵に、食欲が大いにそそられる。主人公は、誕生日のお祝いに家族で回転ずしのお店にやってきた少女、のりちゃん。大好きなすしをほお張る幸福感に満ちた顔といったらない。
ひょんなことから、テーブル下のもう一つのレーンに乗り込んだのりちゃんは、まるで竜宮城のような海の神様のいる世界に迷い込む。子供にとって、おいしいすしがレーンで運ばれてくる回転ずしは夢のような世界なのだろう。そのワクワク感を、ファンタジーの世界観と色彩豊かな絵が如実に伝えている。
『ひみつのおすしやさん』黒岩まゆ作(KADOKAWA・1650円)