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お客さまのエネルギーで心身熱々 人生初の講演会に臨んできました 美村里江のミゴコロ

産経ニュース 2025年1月27日 14時8分

テレビ業界を巡るニュースが幅広く過熱していく中、私はひんやりと美しい雪景色を眺めていた。翌日に控えた「人生初の講演会」のため、新潟県にいたのだ。

柏崎市で30周年を迎える演劇フェスティバルにて、芝居の準備や映像との違い、パフォーマンスを安定させる自己メンテナンスについて話してください、というご依頼。私で務まるだろうかという不安もあったが、「請われたらやってみよう」の人生スローガンのもと、この会のために数カ月準備してきた。

せっかくの新潟! おいしいものも楽しみたいが、各種感染症も大流行中。外食せずコンビニで購入したソバなどで明日に備え、早めに就寝。

前日も晴れていたが、この日も晴天で風もなく、朝日に照らされた周囲の山肌の凹凸が青空にきりりと映えている。不慣れな土地で美しい景色を見ると、歓迎されたような気分になってなんともうれしいものである。

意気揚々と早めに開催地へ到着、早速会場のチェック。と、ここで初めて気づいたのだが、普通の講演会というと、壇上に立派な木の台がありその上にマイクという、いわゆる校長先生スタイルなのだ。色とりどりのカーネーションがかわいらしい生花と、青くきれいな水差しとグラスもそろえられ、いかにもちゃんとした「講演会」である。

主催側のありがたいお気持ちを受け取りつつ、なんとなく自分には立派すぎるかしらと思ったので、お花と水だけ残して、椅子一脚にハンドマイクという、お客さまとより近い距離感のセッティングに替えていただいた。

そうして迎えた本番。整理券は全てさばけたという事前情報通り、ほぼ満席のお客さまを前に相変わらず緊張もせず、自分の20年の経験から実直にお話しできたかなと思う。最後の10分の「なんでもご質問どうぞコーナー」で挙手してくださるお客さまも多く、予定時間を延長してお答えした。一部回答には渦中のテレビ業界問題への所感も含め、任務終了。大変楽しかった。

終わったあと、私の心身は熱々に。客席から頂戴したエネルギーなのか、終演後とても元気になるのは舞台も講演会も同じらしい。

この仕事は給与以外に多くの物をいただくなあ、といつも私は思う。その分、誠実に働いてお返ししていこうという感覚がないと、寓話(ぐうわ)的なオチが待っているのかもしれない。

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