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念願の散髪 美村里江のミゴコロ

産経ニュース 2024年10月7日 14時49分

髪を切った。

ショートヘアまで短くしたのは、カットモデルをやっていた高校生以来。実に23年ぶりになるだろうか。

皆さんもご存じの通り、特に中年以降は毛質が変わってくる。若い頃と同じようにきれいなロングヘアを保つのは大変難しい。年配になるにつれショートの女性が増えていくのは当然の流れだ。今のうちにショートの扱いに慣れておこう、白髪が増える前に…くらいの気持ちだったが、短くしようと思い立ってからここまでが実に、大変長かった。

ショートカットがうまいとご紹介いただいた美容院でも、「切ります!」「今の作品が終わったら」「次回こそ…」「さ、3カ月後には…」と、すっかり〝キルキル詐欺〟となり1年以上。予約を入れてホッとひと安心、当日はウキウキと向かった。

「いよいよですねぇ」と笑顔で迎えてくださった美容師さんと念入りに相談の上、洗髪した濡(ぬ)れ髪でいざカット開始。頭蓋骨の形が顕著になるだろうことは想像がついていたが、実際には彫刻に近い大作業であった。

まずは、木目を読むように毛の流れを慎重に観察。毛根の元の形状から逆毛や膨張も予想。いつも以上に真剣なまなざしで、私の頭部を上下左右、鏡越しにも、あらゆる角度でチェックしながらハサミとクシがちゃきちゃきと絶え間なく舞っていく。

素人目に整って完成かと思われた頃、「微調整前にもう一度シャンプーしますね」と促され、起立して床を見ると5ミリ程の細かな毛が山盛り。

シャンプー後はさらに微に入り細をうがつ作業で、一度に切る毛束はほんの10本ほど、わずか2ミリずつ。普段は1時間弱で終わるのだが、実に2時間の大作が完成した。

結果、寝起きにさっと濡らしてヘアオイルをつけるだけで様になる、理想的なショートに大満足。女性陣から好評で、カットした美容院を聞かれたり、本気の賛辞もあったりしてとてもうれしい(夫を除く男性からおおむね不評なのも予想通りで、これにも妙に満足している)。

さて、タイトルの「散髪」は「刈り上げる」意味もあるが、実はひと月後2度目のカットの際、襟足を刈って整えた。この人生初バリカンが、想像を超え爽快だった。

しばらくこの髪形でいこうと思うが、調子に乗って襟足のバリカン領域を拡大していかないよう、自分に言い聞かせている現在である。

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