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<話題の本>新紙幣で関心高まる 『現代語訳 論語と算盤』渋沢栄一著、守屋淳訳

産経ニュース 2024年7月21日 8時0分

『現代語訳 論語と算盤(そろばん)』渋沢栄一著、守屋淳訳(ちくま新書・902円)

新紙幣の発行が3日から始まり、「日本資本主義の父」と称される実業家の渋沢栄一(1840~1931年)が新しい一万円札の顔となった。紙幣のデザイン刷新は約20年ぶり。渋沢への関心の高まりを受け、その著作の抄訳版『現代語訳 論語と算盤』が出版取次大手、トーハンの週間ベストセラー(9日発表)で新書部門4位にランクされた。

原著の『論語と算盤』(大正5年刊)は、渋沢の講演での口述を編集したもの。「利潤と道徳を調和させる」という経営哲学を説いている。そこから重要部分を選び、現代語に訳したのが本書だ。「漢文調の文章を読み辛いと感じる人が増え、栄一という近代屈指の偉人と出会いにくくなってしまった」。こう憂えた訳者が中学生でも気軽に読めるものを目指しただけに、100年以上も前の本とは思えないほど読みやすい。

筑摩書房によると、本書は平成22年に刊行、56刷で累計65万部を突破した。新紙幣のデザインが発表された31年4月9日からこれまでの間に、46万6100部も増刷している。もともとは経営者に読まれていたが、近年は購買層が広がっており、ビジネス街だけでなくショッピングモール内の書店でも売り上げが伸びているそうだ。(寺田理恵)

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