第171回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は朝比奈秋さん(43)の「サンショウウオの四十九日」と、松永K三蔵さん(44)の「バリ山行」に決まった。
朝比奈さんは昭和56年、京都府生まれ。現役の医師として働きながら小説を執筆し、令和5年に「植物少女」で三島由紀夫賞を受賞。芥川賞候補は初めて。受賞作は結合双生児の姉妹の杏と瞬が主人公。黒と白のサンショウウオのような陰陽図を見て以来、杏は互いの意識が融合してしまう恐怖におびえ、瞬は伯父の死を契機に自身の死を経験する。
松永さんは昭和55年、茨城県生まれ。令和3年に「カメオ」で群像新人文学賞優秀作を受賞しデビュー。芥川賞候補は初めて。受賞作は勤務先の建装会社の登山部で、山登りの魅力に目覚めた会社員、波多が主人公。大手頼みの会社の先行きに不安が募るなか、波多は通常の登山ルートを外れて山中の道なき道を進む「バリ山行」にのめり込んでいく。
続いて直木賞が発表される予定。贈呈式は8月下旬、都内で開かれる。賞金は各100万円。