各ジャンルのお薦めを選ぶ年末恒例、今年の「私の3冊」。ノンフィクションは産経書房編集班です。
❶『日米史料による特攻作戦全史』 ロビン・リエリー著、小田部哲哉編訳(並木書房・6820円)
❷『反日種族主義 「慰安婦問題」最終結論』 朱益鐘(文芸春秋・2420円)
❸『タネまく動物』 小池伸介・北村俊平編著、きのしたちひろイラスト(文一総合出版・1980円)
❶先の大戦で米艦艇が受けた旧日本軍の「カミカゼ攻撃」の全容を記した。特攻を受けた米艦艇の様子や艦艇ごとの損傷状況・戦死者数・負傷者数などを記録。特攻作戦について、体当たり成功率なども用いて分析した上で「貧弱な国力をはるかに上回る成果を得られることを日本軍は実証した」と評価し、旧日本軍がなぜ敗戦を覚悟しながら特攻を続けたかを読み解いている。特攻機がやみくもに体当たりしたのではなく、目標や戦術があったことが分かる。
❷日韓の慰安婦運動家が主張してきた「強制連行され性奴隷にされた少女たち」という虚像を覆す実証研究。慰安所業者と女性側との契約の内容、慰安婦の所得や貯金の実態などを明らかにした。また、「日本軍による朝鮮人慰安婦虐殺」の映像について、英語の説明文や死体の体格などから再検討している。韓国人の近現代史認識における虚構を韓国の学者たちが暴いたベストセラー『反日種族主義』のシリーズ最新刊。
❸植物が動物にタネを運ばせる動物散布の研究最前線。哺乳類から昆虫まで国内事例を中心に、18人の研究者が執筆した。例えば、ツキノワグマのふんには何千粒ものタネが含まれている。魚を食べる海鳥は種子散布者として注目されていなかったが、無人島の南硫黄島で外来植物が発見され、海鳥にタネが付着して運ばれたと考えられているという。若い読者を意識し、平易な文章で書かれている。親子で共有できそう。