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<話題の本>在日中国人が認めた味がコロナ禍で続々新規出店 『進撃の「ガチ中華」』

産経ニュース 2024年6月23日 10時20分

『進撃の「ガチ中華」』近藤大介著(講談社・1650円)

「町中華」の次は、「ガチ中華」がブームらしい。本書によると、ガチ中華とは「中国人が中国人客のためにオープンした中華料理店」のことを意味したが、最近は日本人客も訪れる「本場中華の素のままの味を提供する中華料理店」になった。ただ、玉石混交でハズレも多いとも。

本書はガチ中華を巡るエッセー。講談社北京副社長の経験もある著者が、東京の15店と中華カフェを探訪している。複数のマスメディアで取り上げられて話題を呼んでおり、表紙の麦わら帽子のようなフタをかぶせて蒸す雲南省の料理をテレビで見た読者も多いのでは。ほかにも、イスラム教徒の少数民族「回族」のラム肉水餃子、湖南省のスッポン煮込みと、珍しい料理がいっぱい。

ガチ中華が増えたのは、新型コロナウイルス禍がきっかけだった。酒類提供を制限された居酒屋などが閉店し、代わって酒がなくても気にしない中国人向けガチ中華が新規に出店。本国に戻れなくなった在日中国人の需要を背景に繁盛したという。

魅力はグルメ情報だけではない。最新の中国事情も面白い。新疆ウイグル自治区では、文化大革命時代に都市部から下放され苦役を経験した初老の男性たちが、青春を懐かしんで旅をしているそうだ。(寺田理恵)

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