京都大で地理学を学ぶ大学院生で、街歩きツアーのガイドも務める著者が、写真や地図を使いながらY字路の魅力をつづった。京大のある地域や東京・渋谷などにY字路が多い理由を探っている。
Y字路によって生じた三角形の土地にあるのは、建物ばかりではない。郵便ポスト、道標、お地蔵さん…。Y字路は独特の景観を生み、街歩きに抑揚を与える。歌では、人生における迷いや別れの象徴として使われるという。
「純粋Y字路」の条件は、鋭角のある三差路で、角地の建物が人の視線を受け止めるアイストップとなっていること。街歩きが楽しくなる一冊。(晶文社・2090円)