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あふれ出る「川崎愛」 地元の高3生が憩いスペース製作 全国都市緑化フェア

産経ニュース 2024年10月8日 16時3分

川崎市で19日に開幕する全国都市緑化かわさきフェア(川崎市、都市緑化機構主催)にあわせ、地元の川崎総合科学高校(川崎市幸区)の生徒が、緑あふれる憩いの場の製作に取り組んでいる。設置されるのはJR川崎駅から、メイン会場の一つである富士見公園(同市川崎区)に向かう市役所通り。コンセプトやデザイン、製作すべてを生徒が担当。160万人を見込む来場者の休憩スペースや撮影スポットだけでなく、今後の利用の課題を探るなど、高校生の視点で街づくりを考える試みだという。

「地域・社会に貢献する」川崎総合科学高校

製作しているのは、建設工学科3年の男子生徒7人。昨年1月に主催者側から製作の依頼を受け、最終学年の3年生時に1年間を通して研究や製作を行う課題研究として取り組んでいる。

課題研究のテーマは「地域・社会に貢献する」。誰もが気軽に立ち寄れ、利用者が川崎を好きになるようなスペースを目指している。3年生になる前の今年1月から、デザインや10分の1の模型作りなどに取り掛かった。

作品では、川崎が映画の街としても知られることから、米ハリウッドを模して「KAWASAKI」というローマ字を配した造形物を製作。同校の略称「KST」のデザインを取り入れ、川崎のシンボルでもある多摩川をイメージしたテーブルやいすも作った。

メインの作品は、柱と屋根で作った日蔭棚「パーゴラ」(高さ2・1メートル、幅5メートル)。長さ4メートルの角材や2×4材を約30本使用し、約9畳の広さがあり、木のぬくもりを感じつつ木陰で休める空間を創出した。内部には「川」が円を描いたような川崎市の市章をモチーフにしたいすを配置する。

「KAWASAKI」を考え、変わる生徒

造形物は、生徒たちがデザインや設計の際、風や加重による影響を計算した上で、市内の施工業者のアドバイスも受けて、安全性に配慮した。また、それぞれの作品にQRコードをつけ、利用者にアンケートに答えてもらう。その内容から、今後の憩いのスペース作りに必要なことなどを考え、来年1月に発表する。

担当の田村雄志教諭(44)によると、製作の過程を通し、生徒に変化があったという。「普段から建築の話やデザインについてみんなで話し合ったり、気になる造形物を見に行ったり、ものを作ることがより身近になったのではないか」と語る。

デザインと一部設計を担当した諸戸聡さん(17)は「最初は難易度が高いと思っていましたが、仲間と作ることが楽しくなった。例えばパーゴラは当初、筋交いを入れないデザインだったけど、強度を考えて入れようと意見をもらった。するとデザイン的にもよくなった」と話す。11月に愛知県で開催される技能五輪全国大会の建築大工部門の県代表でもある和田悠さん(18)は「最初は、安全性とか不安なことが多かったけど、製作する中で現場の整理整頓が重要だということなど、気づきも多かった」と話す。

「学校では得られない経験」

19日の開幕を前に、10月2日には同校でパーゴラを仮組。11日には市内の施工業者によって設置される予定。

同校は、今回の取り組みのほか、外部の大学や企業と連携して製作活動を複数行っている。濱野雄功校長(59)は「生徒たちが『外とつながる』ことによって、いま学んでいる技術が社会でどう生かされているかを知ることができる。その過程でプロからアドバイスを受けて、生徒が気づくことも多い。学校では得られない経験になったのではないか」と話している。

全国緑化フェアは、富士見公園のほか、等々力緑地(川崎市中原区)、生田緑地(同市多摩区)をコア会場とし、19日から11月17日まで開催。また、春開催として来年3月22日~4月13日にも予定している。

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