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広がる水泳授業の外部委託、水難学会の斎藤秀俊理事「校外プールで委託が安全」

産経ニュース 2024年7月14日 22時51分

学校プールを廃止する動きは、多くの自治体で広がっている。周辺の学校と共同でのプール使用や、学校外プールでの実施、授業を外部インストラクターに委託するなど、代替する方法はさまざまだ。

スポーツ庁によると、全国の小・中学校に設置されている屋外水泳プールの数は令和3年度は2万1607カ所で、25年前と比べると約6千カ所減少した。

東京都目黒区では、4年5月下旬~11月上旬、区内の小学校の水泳の授業を同区中央町にある「セントラルフィットネスクラブ24目黒」で試験的に実施した。

授業は4人のインストラクターが担当。1人あたり20人ほどを指導し、監視を1~2人が担う。教員3人も同行し、見学の児童への指導や、成績評価などを行った。

授業後のアンケートでは、回答した児童の半数以上が「今後もフィットネスクラブで授業をしたい」と答えた。「学校にプールがある方がいい」という回答はわずか7・8%にとどまった。

充実した設備で専門のインストラクターによる指導を受けられることもあり、保護者からは「子供が楽しそうにしていた」といった肯定的な声が多く上がったという。

神奈川県海老名市では、施設の老朽化や安全対策を考慮し、平成19年度から市営などの屋内プールの利用を開始し、現在は全校が学校プールを廃止している。

埼玉県鴻巣市は施設の修繕コストを考慮し、令和4年度から市内のすべての中学校で水泳の実技授業を廃止した。水泳の事故防止の心得などは教室内の授業で学んでいる。(堀川玲)

プールは自分の身を守るための教育

水難学会理事の斎藤秀俊さんの話 高知市で起きたプール事故を受けて、専門のインストラクターに任せれば安全と考えるのは危険だ。老朽化したプールの維持管理費や教員の負担などの要素を考えれば、学校外のプールで外部のインストラクターに委託して行うのが良いだろう。

しかし、それで水難事故が起きる可能性を下げられるわけではない。むしろ、日ごろから子供たちを見ている教員の方が、わずかな変化や不調を見逃さない。これまで、水泳授業での事故は教員の努力で抑えられてきたこともあり、その実施方法の変更には慎重になる必要がある。

プールは遊ぶ場所というイメージを持たれがちだが自分の身を守るための教育。教育施設にお金をかけるのは当然のことではないだろうか。

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