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中学受験の都市伝説「早い受験番号」「説明会の服装」…冷静さ失わないで 桜井信一 桜井信一の攻める中学受験

産経ニュース 2024年10月12日 11時0分

中学受験というのは都市伝説だらけなのです。皆が都市伝説に踊らされ余分に奔走してしまいます。例えば出願。今はインターネット出願になりましたが、つい数年前までは窓口に出願する学校がたくさんありました。特に最難関中学の出願の場合、初日の早朝に列ができるのです。こんなのどう考えてもご近所迷惑なのに、やっぱり列ができるのです。

理由が呆れます。「早い受験番号の方が誠意があると思ってもらえる」というのです。ところが、受付する側の事務方はというと、初日にどさっとくるものだから、3つに山分けして3人で開封作業をする。あれ? 並ぶ意味があったっけ? となるのです。

その願書には「楷書で」と記載があります。この意味を拡大解釈する人が出てくるのです。近所の書道五段の先生に5千円を包み、代筆してもらうわけです。これはwordで書いたのか? フォントは何だ? という願書が出来上がります。こんなのメリットどころか、デメリットの不安しかありません。

学校説明会では子どもが紺のワンピースを着て参加。よく見るとお母様もお揃いの紺のワンピース。どう見ても今回のために新調している。お母様には真珠のネックレスというアイテムが追加。ジーンズやジャージよりはマシだけれど、「当たり障りのない」というニュアンスを教えて差し上げたい。

そろそろ過去問に取り掛かる時期と言われると、「過去問って何周するべきですか?」という質問がSNSに飛んできます。いやいや、過去問やったことないでしょと呆れてしまいます。何周もできるほど時間がないはず。だって4教科で4時間かかり、そのマル付けと間違えた問題の解き直しをしたらその倍はかかるでしょう。受験前の子のどこにそんな時間があるというのでしょう。

では、「過去問は何年分やるべきですか?」「いつからやるべきですか?」「同じ問題を何度もやるものですか?」「第二志望校からやるべきですか」と続きます。どうしてこうなるのでしょうか。それほど冷静さを失い不安だということです。子どもを何とか合格させようと必死な親の姿。私は素晴らしいことだと思います。

でも、それを回答する「受験終了組」はいい加減なものです。自慢も入れて回答するものだから、まるであてにできません。こんな話があります。

よくある質問で、「みなさんは何年生から入塾しましたか? 習い事などはどうされましたか?」というものです。この釣り針に10匹ほどの終了組が食いついてきます。

「Y60に合格しましたが、うちは健やかにをモットーに育ててまいりましたので、受験勉強は5年生から、それも外遊びは欠かさずにバランスよくさせておりました」と返してきます。回答まで数分もかかりません。スマホのメモ帳に書いておいてペーストするだけなのでしょうか。ところで、頭の「Y60」は何ですか? 自己紹介という名目の自慢? こういう人は必ずといっていいほど敵が現れる。

「御三家に合格しましたが……」とマウントを取ってくるのです。こんな回答に信憑性があるでしょうか。

中学受験の都市伝説の代表格と言えば、なんといっても「勉強は塾にお任せください。親は一切教えないでください」というもの。その通りした結果、頑なに守った結果、下位クラスから脱出できないでいる子がどれだけいるか。

このことからもわかるように、中学受験は皆と同じ道を通ってはダメです。ボリュームゾーンで終わります。また、不安なときは一度立ち止まってください。冷静になれば正しい道が見えるはずですから。

筆者紹介

桜井信一(さくらい・しんいち) 昭和43年生まれ。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。進学塾では娘の下剋上は難しいと判断、一念発起して小5の勉強からやり直し、娘のために「親塾」を決意。最難関中学を二人三脚で目指した結果、自身も劇的に算数や国語ができるようになる。現在は中学受験ブログ「父娘の記念受験」を主宰、有料オンライン講義「下剋上受験塾」を配信中。著書に、テレビドラマ化されたベストセラー『下剋上受験』をはじめ、『桜井さん、うちの子受かりますか』、馬淵教室と共著の『下剋上算数』『下剋上算数難関編』などがある。

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