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クジラ竜田揚げ、脱脂粉乳… あふれるノスタルジー 北本市の学校給食歴史館 埼玉「館」巡り

産経ニュース 2025年1月25日 13時30分

午前中の授業も終わりかけともなると、給食を調理する匂いがどこからか漂ってくる。「もう待ちきれない」とおなかが鳴き始めた小中学生時代を懐かしく思い出す人も多いだろう。

クジラの竜田揚げ、揚げパン、カレーシチュー…。そんな給食の変遷の歴史を豊富なサンプル展示で教えてくれるミュージアムは全国にここしかないそうだ。

「日本の学校給食は明治22年、現在の山形県鶴岡市の大督寺で困窮家庭の児童らに昼食を無償提供したことが始まりだった」。案内の中島勝男館長がそう説明する。

展示は同寺の「学校給食発祥の地記念碑」のレプリカ、初の給食を再現したサンプル(おにぎり、塩ザケ、漬物)から始まる。昭和20~30年代はアルマイト食器の脱脂粉乳とコッペパン。同40年代ではソフト麺のカレーあんかけといった昔懐かしい献立のサンプルが年代順に続く。

給食の変遷分かりやすく

「大きな転換点はご飯の導入だった」と中島館長。パンだけでなくご飯に合うようおかずも和洋中とバラエティーに富む献立が徐々に増えていったという。

県内では現状、公立の小中学校などで毎日54万食が提供されている。「最近は地場の農産物を献立に積極的に取り入れるなど、ただ食べるだけでなく食育にも欠かせない役割を持つ」(中島館長)

給食の移り変わりは時代を映す鏡でもある。昭和時代に使われた銀色に輝くアルマイト製の食器類や先割れスプーンなど、ノスタルジーあふれる陳列も見どころだ。

同40年代の学校教室を模したライブラリーコーナーでは、大人にはやや小さい木製の机と椅子に腰かけ、給食に関するビデオ鑑賞ができるのも楽しい。(柳原一哉)

■アクセスガイド 埼玉県北本市朝日2の288番地。JR高崎線北本駅東口から約3キロ。市内循環「川越観光バス」で約15分。休館日は土・日・祝日・年末年始(12月29日~1月3日)・夏期(8月13~15日)。開館時間は午前9時~午後4時。入館無料。

■学校給食歴史館 公益財団法人「県学校給食会」が平成22年に開設し、学校給食への理解促進と食育の推進に役立てるため、給食献立のサンプルや食器、調理コンクールの紹介、歴史資料などを収集、公開している。年間入館者数は約2400人(令和5年度)。

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