首都圏(1都3県)の私立中学受験で、先陣を切って埼玉の試験が10日にスタートした。出願者が例年1万人を超える人気校・栄東(さかえひがし)中(さいたま市)では、この日だけで約5000人が受験。インフルエンザが全国的に猛威を振るう中、学校側も入念な対策のもとで臨んだ。
栄東中によると、9日時点での総出願者数は1万3222人。同中では5日間にわたり計4つの入試を予定しており、初日の10日(東大A日程)の出願者は5179人(募集人員80人)に上った。
出願者総数は今年で12年連続1万人を超えた。人気の背景には、埼玉県が首都圏の私立中学入試で最も早く解禁となることに加え、同中は試験結果を詳細に受験生に開示することなどで知られており、いわゆる「本命組」に加えて県外の難関校希望者らが「腕試し」で受けるケースもあるためとされる。
10日の試験会場は5カ所用意され、このうち最多の約2500人が訪れた同中校舎会場では、早朝から受験生と保護者らによる行列が最寄りのJR東大宮駅から校舎まで、800メートルほど続いた。
教室は40人ずつのグループに分けて計約60室を利用。インフルエンザの直近の感染者数が過去最多を記録する中、テスト用紙を配る試験監督はマスク着用や手指の消毒を徹底した。受験生も多くがマスクをしていた。
長男(11)が受験する神奈川県在住の女性(46)は、「インフルエンザの流行もあり、体調管理にはすごく気を使ってきた」とした上で、「今日は、今後に向けた受験慣れや実力把握の意味合い。緊張もあると思うが、とにかく思い切って臨んでほしい」とエールを送った。
進学塾大手の「四谷大塚」によると、埼玉県の中学受験では昨年よりも出願数が増えている学校が多い。開智(さいたま市)の「算数特特」は、定員10人に対し、前年比で約2.5倍の2090人が出願。定員が110人と最も多い10日の第1回入試も3969人が出願した。
首都圏の中学受験は、埼玉を皮切りに、千葉(20日)、東京・神奈川(2月1日)と続く。少子化の一方、各校ごとに多様で特色のあるカリキュラムが整うなどしてきたことで受験率は上昇の一途で、今回の令和7年度入試は過去最高の20%近くまで達するとの見方が出ている。