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リアル中学受験 小6の9月「塾やめる」、尊重した息子の意志と腹くくった親のかかわり リアル中学受験-わが家の場合

産経ニュース 2024年7月26日 13時0分

東京都内の私立中高一貫校に通う高1長男(15)の中学受験の日々を、母親目線で振り返ります。思考力を重視する新しいタイプの入試に挑戦するため、自宅から遠い塾に通い始めた息子。通塾に1時間近くかかる負担がストレスとなり、体調を崩すトラブルにも見舞われました。家族で話し合った結果、小学6年の9月に通塾をやめる決断に至ります。受験まであと半年。残された時間で親として取り組んだのは、基礎固めに伴走することでした。

息子は塾で孤立していた

小学5年秋ごろから、塾通いに後ろ向きになっていった息子に、母親の私は「嫌なことから逃げているだけじゃないの」ときつい言葉を投げかけてしまったことがありました。その発言が度を過ぎていたと反省し、通塾について息子の気持ちを聞く機会を持ちました。

息子が打ち明けてくれたのは次のような話でした。塾で仲良くなった友達が、次々とやめていってしまったこと。自分が受験するのは私立中の思考力型入試だけど、塾のクラスメイトは全員、都立中高一貫校を志望していて、クラスメイトとも先生とも話題が合わないこと。塾で息子が孤立していることが分かりました。本来は社交的な性格の息子にとって、塾通いにモチベーションが保てず、辛い状況だったようです。

ただ、そのまま塾をやめたり、受験そのものをやめたりすることは選択しませんでした。公立中高一貫校の志望者が受験する適性検査型の模試で、作文の練習を重ねてきた成果が見える成績をとったことが、一度だけですが、ありました。この成功体験が、記述式の問題を多く課す志望校の入試に挑戦する自信につながったようでした。

息子が決めた2つの方針

小学6年生に進級したタイミングで直面したのが、コロナ禍です。塾がいち早く、ビデオ会議システム「Zoom」を活用したオンライン授業の態勢を整えてくれたおかげで、受験勉強が途切れることはありませんでした。自宅から遠い塾に通うことが負担だった息子にとって、家で授業を受けられるのは大きな利点でもありました。

ただ、夏季講習のころから対面授業が復活し、秋以降、通塾が再開することがわかると、息子は自分の意志で「もう塾やめる、自分で勉強する」と言い出しました。親が車で送迎できる土曜日の作文力を鍛える授業と、日曜日にオンラインで行われる答案作成練習会は継続し、月、水曜日の国語と算数のクラスは退塾することにしました。

そこで、息子に代わって志望校の過去問を分析しました。すると、問題文を丁寧に読み、内容を理解できれば、オーソドックスな設問だと分かりました。息子が基礎的な力を固められるように、伴走しようと腹をくくりました。

塾に行かない代わりにどうするか。息子に方針を考えさせました。塾のほかに、息子は低学年のころからタブレットで学ぶ通信教育を続けていたので、その教材の小学4年以降の国語、算数、理科、社会の問題をすべてやりなおし、小学生の基礎学習を徹底する。塾で購入して手元にある適性検査型の教材を復習する。この2つを自分の意志で決めてくれました。

小言を言っても変わらない

反抗期の息子と母の私の間では、言い尽くせないほどの親子バトルが繰り広げられました。

子供時代に「優等生」だった私は、宿題をやらないままで平気な顔をして過ごしている息子の姿勢が、まったく理解できず、「宿題しなさい!」と小言が絶えませんでした。ですが、いくら言ったところで、本人は変わりません。

変わったのは、塾を辞めるという大きな決断を自ら下した後。自分の意志で決めた2つの勉強方針はしっかり守っていました。

親が他に心がけたことといえば、食事の際にテレビのニュース番組をつけ、時事問題を話題にすることや、入試の作文のテーマになりやすいSDGsに関する絵本や図鑑を一緒に見たことでしょうか。

3年前の2月1日。試験を終えて、保護者控室に戻ってきた息子は、ドヤ顔で「作文書けた」と言いました。悔いなく試験に立ち向かったことだけは間違いない。それが分かって、やっと肩の力が抜けました。

=おわり

いちご大福(2男の母、会社員)

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