中高一貫校に通う、はるとさん、ひなたさんの会話から、令和のPTAの在り方について学びましょう。
はると 岡山県内のPTAが加盟する県PTA連合会が令和6年度末の解散を決めたよ。加盟団体、会員の減少で活動を続けられないと判断し、都道府県レベルのPTA組織解散は全国初になる。
ひなた 共働き家庭の増加などによって、平日の学校での会議など昔ながらのPTAの在り方に疑問を持つ保護者も少なくなく、学校単位でも役員の担い手不足が生まれているの。
はると 岡山県PTA連合会は郡市のPTA団体が参加し、研修会、県教育庁への要望などを行ってきた。ただ団体の退会が相次ぎ、平成20年度で約18万人いた会員は令和6年度までに約1万人に落ち込んだ。
ひなた 運営費にPTA団体からの年会費、積立金を充ててきたけど、7年度以降は活動が継続できないと判断したわ。こうした連合会などからのPTA団体の退会は他の自治体でも見られるの。
はると 退会した団体の保護者からは会議に出席することへの負担感があり、会費に見合ったメリットを感じられないなどの声がある。連合会によっては若い世代の意見が通らないとの批判もあるよ。
ひなた 背景には、保護者の意識の変化もあるといわれている。いまでは珍しくない共働き家庭にとって平日の活動は大変だし、参加が「義務」ではなく本来は「任意」であることも広まってきたわ。
はると PTA活動は、通学路の見守り、運動会の手伝い、草刈りなどの美化作業とさまざま。保護者間の調整、当番のシフト表作りなどで負担の大きい役員の担い手確保に苦労することもあるみたいだね
ひなた 保護者が参加しやすいように活動内容を取捨選択して会費を下げたり、手間のかかることを外部に依頼したりするなどの動きが出ているわ。令和の時代にあったPTAへの模索が続きそうね。
学校の対応がカギに
役員の輪番制、会費による学校備品の購入に象徴される従来のPTAの運営は敬遠されがちで、活動自粛を伴う新型コロナウイルス禍をきっかけに活動内容、会費の見直しが進みました。
PTA業務外注などの支援サービス「PTA’S(ピータス)」の運営会社によると、新型コロナが収束してPTAの行事が復活したことで相談は増加しています。
茨城・つくばみらいの富士見ケ丘小では運動会の誘導係、千葉・流山の小山小では登校を見守る旗当番のシフト表作成ツールを外注し、負担軽減につながりました。
子供の学び、安全を支えてきたPTAが岐路に立つ中、学校も保護者の改革に寄り添う対応が求められています。
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PTAって? 「Parent Teacher Association」の略で、保護者と教職員が協力して子供の健全育成を図るために活動する任意団体。戦後、アメリカが日本の民主主義教育推進のために結成を指導し、文部省(当時)が設置を推奨したことで全国に広がった。
共働き世帯って? 女性の社会進出が進み、夫婦ともに働く共働き世帯の数は増えている。総務省の統計によると、平成9年以降は専業主婦世帯数を上回っており、令和4年は専業主婦世帯数の2倍超の1262万世帯となった。